導入
プロジェクト管理ツール「Redmine」は非常に高機能ですが、「タスクを登録するために、いちいちログインしてフォームに入力するのが少し面倒…」と感じたことはありませんか?
特に、外出先でクライアントから修正依頼のメールを受け取った時や、会議中に発生したタスクを忘れないようにメモしたい時など、すぐにRedmineに登録できない場面は意外と多いものです。
この記事では、そんな悩みを解決する「特定のメールアドレスにメールを送るだけで、Redmineのチケットを自動で起票する」という、非常に便利な設定方法を解説します。
なぜ「メールでのチケット起票」が強力なのか?
この機能の最大のメリットは、思いついた瞬間、どこからでもタスクをRedmineに集約できることです。
- 報告のハードルが下がる:チームメンバーや、ITに詳しくない他部署のスタッフも、普段使っているメールを送るだけでバグ報告や作業依頼ができます。
- タスクの抜け漏れがなくなる:「後でRedmineに登録しよう」と思って忘れてしまう、といったミスを防げます。自分宛にメールを送る感覚で、タ-スクをRedmineに投げ込めます。
- 業務効率が向上する:Redmineを開く手間が省けるため、報告する側も、報告を受ける側も「時間効率」が大きく向上します。
設定の3ステップ(Gmail利用)
今回は、多くの人が利用しているGmailアカウントを使って設定する手順をご紹介します。
Step 1: Gmail側の準備をする
まず、Redmineがメールを読み取れるように、チケット登録専用のGmailアカウントで2つの設定を行います。
- IMAPを有効にする: Gmailの設定画面で、「IMAPアクセス」を有効にします。これは、外部のアプリケーションがGmailの受信トレイを読み取れるようにするための「通用口」を開ける設定です。
- アプリパスワードを生成する: セキュリティのため、あなたのGoogleアカウントのパスワードを直接Redmineに設定するのではなく、Redmine専用の「アプリパスワード」(16桁の特別なパスワード)を生成して使います。これはGoogleアカウントのセキュリティ設定ページから作成できます。
Step 2: Redmineのメール受信コマンドを確認する
次に、RedmineがGmailからメールを取得するためのコマンドが正しく動くか、手動で試してみます。サーバーにSSHでログインし、Redmineのインストールディレクトリで以下のコマンドを実行します。
# コマンドの例
bundle exec rake redmine:email:receive_imap RAILS_ENV="production" \
host=imap.gmail.com \
ssl=true \
port=993 \
username=your_redmine_email@gmail.com \
password=YOUR_APP_PASSWORD \
project=your_project_identifier
このコマンドは「GmailのIMAPサーバーに、このユーザー名とアプリパスワードでログインして、メールを読み取り、指定したプロジェクトにチケットとして登録してね」という命令です。
テストメールを送って、このコマンドを実行し、Redmineにチケットが作成されれば成功です!
Step 3: cronでメール受信を自動化する
最後に、このコマンドを毎回手動で実行しなくても済むように、**cron
**というLinuxの機能を使って、定期的に自動実行されるように設定します。
例えば、crontab -e
コマンドで設定ファイルを開き、以下のように記述すれば、5分おきに自動でメールをチェックしてくれるようになります。
*/5 * * * * cd /path/to/redmine && bundle exec rake redmine:email:receive_imap ...
まとめ
今回は、RedmineとGmailを連携させて、メールでチケットを自動起票する方法をご紹介しました。
少し専門的な設定に感じるかもしれませんが、一度設定してしまえば、チーム全体の報告文化が変わり、プロジェクト管理がよりスムーズになる、非常に「コストパフォーマンス」の高い改善です。
この記事が、あなたのチームの生産性を向上させる「ヒント」になれば幸いです。
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