「写真やファイルの置き場所に困っている」「毎月のクラウドストレージ料金が気になる…」と感じたことはありませんか?そんな悩みを解決するのが、自分だけのプライベートクラウドを構築できる「Nextcloud(ネクストクラウド)」です。
Nextcloudは、DropboxやGoogle Driveのように使える高機能なオンラインストレージを、自前のサーバーに無料でインストールできるオープンソースのソフトウェアです。この記事では、サーバー初心者の方でも分かりやすいように、Nextcloudのインストール手順を丁寧に解説していきます!
✅ Nextcloudを自分で構築するメリット
- 完全なデータ管理: 外部の企業にデータを預けることなく、全てのファイルを自分の管理下に置けます。プライバシー面で絶大な安心感があります。
- コスト削減: 月額料金は不要です。サーバーの維持費だけで、大容量のストレージが利用できます。
- 高い拡張性: ファイル共有だけでなく、カレンダー、連絡先、ビデオ会議など、豊富なアプリを追加して機能を拡張できます。
ステップ1:サーバーの準備とパッケージの更新
まずはじめに、これから様々なソフトウェアをインストールするために、サーバーのパッケージリストと導入済みのソフトウェアを最新の状態にしておきます。これは、作業前のお掃除のようなものです。
sudo apt-get update
sudo apt-get upgrade
ステップ2:WebサーバーとPHPのインストール
NextcloudはWebブラウザからアクセスするアプリケーションなので、その土台となる「Webサーバー(Apache)」と、Nextcloud本体を動かすためのプログラム言語「PHP」をインストールします。
1. Apacheのインストール
sudo apt-get install -y apache2
2. 最新のPHPをインストールするための準備
Nextcloudは比較的新しいPHPバージョンを要求するため、標準リポジトリにはない最新版をインストールできる特別なリポジトリを追加します。
sudo apt-get -y install apt-transport-https lsb-release ca-certificates
sudo wget -O /etc/apt/trusted.gpg.d/php.gpg https://packages.sury.org/php/apt.gpg
sudo sh -c 'echo "deb https://packages.sury.org/php/ $(lsb_release -sc) main" > /etc/apt/sources.list.d/php.list'
sudo apt-get update
3. PHPと必要な機能(モジュール)のインストール
Nextcloudを正しく動作させるために必要なPHPの様々な機能を、まとめてインストールします。
sudo apt-get install -y php7.2 php7.2-gd php7.2-json php7.2-mysql php7.2-curl php7.2-mbstring php7.2-intl php-imagick php7.2-xml php7.2-zip libapache2-mod-php7.2
ステップ3:データベースの準備
Nextcloudは、ユーザー情報やファイル管理情報などを「データベース」に保存します。ここでは、広く使われている「MariaDB」をインストールし、Nextcloud専用の保管場所を作成します。
# MariaDBサーバーとクライアントをインストール
sudo apt-get install -y mariadb-server mariadb-client
# MariaDBに管理者としてログイン
sudo mysql -u root -p
ログイン後、以下のコマンドを一行ずつ実行して、データベースと専用ユーザーを作成してください。
# 'myclouddb' という名前のデータベースを作成
CREATE DATABASE myclouddb;
# 'mycloud' というユーザーを作成し、パスワードを設定
CREATE USER 'mycloud'@'localhost' IDENTIFIED BY '強力なパスワードを設定';
# 作成したユーザーに、データベースへの全ての権限を与える
GRANT ALL PRIVILEGES ON myclouddb.* to 'mycloud'@'localhost';
# 設定を反映
FLUSH PRIVILEGES;
# ログアウト
quit;
ステップ4:Nextcloudのインストール
いよいよ主役のNextcloudをサーバーに設置します。
# Webサーバーの公開フォルダに移動
cd /var/www/html
# Nextcloudの最新版をダウンロードして展開
curl https://download.nextcloud.com/server/releases/latest.tar.bz2 | sudo tar -jxv
# Nextcloudがファイルなどを書き込めるように、所有者をWebサーバーに変更
sudo chown -R www-data:www-data /var/www/html/nextcloud
ステップ5:Webブラウザで最終セットアップ
ここまでの作業が完了したら、いよいよWebブラウザを開いて最終設定です!
http://(サーバーのIPアドレス)/nextcloud
上記のURLにアクセスすると、Nextcloudの初期設定画面が表示されます。以下の項目を入力してください。
- 管理者アカウントの作成: 好きなユーザー名とパスワードを入力します。これがNextcloud全体の管理者になります。
- データベース: 「MySQL/MariaDB」を選択し、ステップ3で設定した「データベース名(myclouddb)」「ユーザー名(mycloud)」「パスワード」を入力します。
すべての項目を入力し、「セットアップを完了します」ボタンを押せば、自分だけのNextcloud環境の完成です!
まとめ
お疲れ様でした!これで、誰にも気兼ねなく使える大容量のプライベートクラウドストレージが手に入りました。まずはスマートフォン用の公式アプリをインストールして、写真の自動アップロードなどを試してみてはいかがでしょうか。快適なNextcloudライフをお楽しみください!
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